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心の井戸(いつも書きかけ)その8

神様がいる井戸 心の井戸・いつも書きかけ その8


真っ白な長い髪を腰まで伸ばしている御婆さんの横に座っているはづき。

目の前で泣いているお母ちゃんと思われる人。
「もうはづきを育てる事なんて、これ以上あたしにはできません。」
どうして泣いているの?お母さん。。。

けれど言えない。
私、いつもいい子にしてたと思うんだけど、どうしてこんな所に連れてこられたの?

はづきは戸惑っていた。
白い髪のおばあさんは私の背中をやさしく撫でてくれた。
うちのおばあちゃんとは違ったやさしい温もりを感じるその手は、私の背中を何度も何度も撫でてくれた。

「この子はね、普通の子供とは違うの。ほんとうに違うの。あなたが面倒を見なかったとしても、この子は1人で生きていける子なの。それとね、かっちゃんのご先祖の血はこの子継いでいるの。この子は強い子。誰にもわからない心も持ってる子。お願いだから家に置いてあげて。」
白い髪のおばあさんがお母さんに言っている。

お願いだから?置いてあげて?

私、捨てられるのかな?お母さんは私を捨てたいのかな?嫌いなのかな?
はづきは泣きたかったけれど、泣かなかった。

けれど、私が要らない子だったら私なんてもういらないんだよね、お母さん。

白い髪の御婆さんのところに行ったお話は、家に帰り着いてから誰にも話せなかった。
だってお母さんは、私とどこに行っていたのかという話をお婆ちゃんにもお父ちゃんにも話さなかったら。

胸の高さにある踏み板から部屋に上がり8畳間の天井を見上げていた。
その時パタンという音がして飛び起きてみると、ふすまが倒れていて子猫が下敷きになっていた。
子猫が・・・子猫が・・・涙を流しながら、小さいはづきは私が代わりになるから生きてと願った。
けれどその願いも空しく子猫が死んでしまった。

その夜はいつも眠る部屋では無い部屋で寝かされた。理由はわからない。
その時に見た夢はしっかりとはっきりと覚えている。

私、要らないんだって。神様、わたしね、お空に上がって行きたいの。
大きなお爺さんを見て神様だと思って、お願いしてみました。

神様はこう言いました。
「はづきが一番願っている事を言ってごらんなさい。その願いを叶えてあげるから、お空に上がるのはやめようよ。」

はづき
「お願いを聞いてくれるの?だったらね、私のお友達の男の子が自転車を欲しがっていたから、その男の子に自転車を挙げて下さい。それとね、もうひとりは新しい靴が欲しいって言っていたから、その男の子にも靴をあげて下さい。そしたら私お空に行くのやめるから。」

そして目が覚めた。

すぐに洗面器を手に取ってちょっともどしてしまった。

婆ちゃんおはよう。
お婆ちゃんにおはようを言って夢の事を思い出していた。
その日はお婆ちゃんとお墓参りに行く日。
「婆ちゃん、はづきって悪い子なの?」と聞いてみた。

お婆ちゃんはすかさず「どうしてそんな事いう?はづきはおりこうさんだよ。誰よりもおりこうさんでやさしい子。」
そう言ってくれた。
はづきは悩みながらお墓に持っていく花を畑で摘んだ。

杉の木が生えている小山の道を上りながら悩んだ。

いいのかな?はづきはこのままお婆ちゃんがいるお母さんがいるお父さんがいるあの家にいてもいいのかな?
お爺ちゃんや叔父ちゃんが眠っているお墓に花を供えながら、聴いてみた。
「お空に上がっていってから、今度は土の下に入るの?暗いのに。神様はお願いを聞いてくれたの?」ってね^^

はづきは真夜中に吐いたり、体中に湿疹ができたりするから要らないって、お母さんは言ったのかな?

なかばいの神さぁのお婆ちゃんの暖かい手の温もりを思い出し、泣きじゃくっていたお母さんの声が何度も何度も私の耳にこだまするんだよ。
お婆ちゃんには言っちゃいけないよね。

いつもお婆ちゃんとお母ちゃんは喧嘩してるから。

けど不思議だな。お姉ちゃん達にはお母ちゃんはやさしいのになぁ。どうしてかな?
お姉ちゃんに意地悪されてもお母ちゃんはお姉ちゃんを叱らない。どうしてかな?

やっぱりはづきが悪い子なの?
おりこうさんをしなくっちゃ。いっしょけんめい、おりこうさんしなくっちゃ!!


神さまー、はづきはどうしたらいいの?お願いした事聞いてくれたけど、自転車きたかな?
新しい靴がきたかな?小さい男の子のお友達んとこに、届いたかな?

かみさま、夢? かみさまって何? ほんとうにいるの?

神さまがいる井戸から声が聞こえてきた。
「かみさまはね、はづきちゃんの心の中にいるんだよー。」

あら?うちのお婆ちゃんと同じ事を神様も言うのね。

小さいはづきが見た夢の中で、初めて空中に浮いた夢だった。
それもまた夢なのにね。

お婆ちゃんと手を繋いで山を下りて家に向かいながら、今は夢見ていないよねって自分のほっぺを抓ったはづきでした。


心の井戸 いつも書きかけ つづく



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